
Yuki Adachi
安達 由紀
Co-founder / CEO / Beaconry
ケア事業者、家族支援者、地域の見守り担当者が抱える言葉になりにくい負担を、ケアの気づきを過不足なく共有する記録設計へ変えていく。Beaconryの現在地。
- Year
- 2022
- Role
- Co-founder / CEO
- Industry
- ケア記録・生活支援連携
- Tags
- ケア記録・生活支援連携事業設計組織づくり
Profile Summary
Profile
安達 由紀氏の事業観には、利用者の変化が申し送りの短い言葉だけで伝わりにくかったという原点が一貫してあります。Beaconryでは生活記録とケアメモを共有する支援者向けツールを中心に、ケア事業者、家族支援者、地域の見守り担当者が抱える確認や受け渡しの負担を分解してきました。安達 由紀氏は便利さを機能数で測らず、翌日も無理なく使えるかを確かめます。その慎重さが、ケアの気づきを過不足なく共有する記録設計を進める際の判断基準になっています。
Company Focus
Beaconryは、生活記録とケアメモを共有する支援者向けツールを軸にケア記録・生活支援連携の運用課題へ取り組む組織です。対象となるケア事業者、家族支援者、地域の見守り担当者の既存手順を観察し、残すべき工夫と見直すべき負担を分けながらサービスを設計しています。生活記録とケアメモを共有する支援者向けツールでは例外対応を隠さず、Beaconryの次の判断材料として残せる仕組みを整えています。
Business Focus
ケアの気づきを過不足なく共有する記録設計を進めるにあたり、Beaconryは生活記録とケアメモを共有する支援者向けツールの使われ方を細かく見直しています。ケア事業者、家族支援者、地域の見守り担当者が途中で立ち止まる箇所や、説明を補わなければならない場面を拾い、例外を消すのではなく、例外が生まれた理由を記録に残すことから改善を始めます。
Leadership Note
Beaconryのチームづくりには、安達 由紀氏が掲げる速く決める部分と時間をかける部分を分ける進行が反映されています。確認項目を増やすことで安心を作ろうとしそうな場面でも、強い意見だけで方向を決めず、実務を担う人の見方を確かめます。安達 由紀氏は、速く決める部分と時間をかける部分を意識して分けています。
Interview
Q&A
Question 01
現場の事業者と向き合う中で、何が一番引っかかりましたか。
インタビュアー
事業化する前に、どんな問いを持っていたのでしょう。
安達氏
なぜ同じ話が何度も蒸し返されるのか、という問いです。利用者の変化が申し送りの短い言葉だけで伝わりにくかったという場面を見たとき、現場の事業者に足りないのは能力ではなく、状況を受け渡すための器だと思いました。
インタビュアー
その器としてこのツールがある。
安達氏
はい。記録や連絡を増やすのではなく、必要な判断が自然に残るようにする。そこからケアの気づきを過不足なく共有する記録設計へ焦点が移っていきました。
インタビュアー
Beaconryを、すぐ形にしようとは思わなかったのですね。
安達氏
思わなかったです。このツールを急いで形にすると、浅くなる気がしていました。利用者の変化が申し送りの短い言葉だけで伝わりにくかったという出来事の後も、しばらくはノートに会話だけを書いていました。
インタビュアー
現場の事業者との会話を集めるところから。
安達氏
はい。現場の事業者が何に困ったと言うかより、どこで言いよどむかを見ていました。そこにBeaconryの事業の輪郭がありました。
Question 02
現場の事業者に使われるために、何を見直していますか。
インタビュアー
最近の開発で意識していることはありますか?
安達氏
使い始めた瞬間より、三週間後に残っているかを見ています。現場の事業者の仕事は毎日少しずつ変わるので、このツールも硬く作りすぎると合わなくなります。
インタビュアー
継続して使われる余白が必要なのですね。
安達氏
そうです。ケアの気づきを過不足なく共有する記録設計は、決め切る部分と現場に委ねる部分の配分が大切だと思っています。
インタビュアー
Beaconryは、機能を増やすことよりこのツールの使われ方を見ているのですね。
安達氏
そのほうが近いです。現場の事業者は新しい道具を触るために働いているわけではありません。このツールで自分の仕事が少し進みやすくなる、というくらいの自然さをBeaconryは大事にしています。
インタビュアー
このツールが自然に仕事へ入っていくこと。
安達氏
はい。Beaconryでは、このツールを『便利そう』で止めず、『明日も使いそう』まで持っていけるかを見ています。
Question 03
ケア記録・生活支援連携に向き合う組織として、何を育てていますか。
インタビュアー
チームに求めている姿勢はありますか?
安達氏
小さな違和感を流さないことです。現場の事業者の仕事を見ていると、ほんの少しの言葉のずれが後で大きな手戻りになることがあります。
インタビュアー
細部を見る力ですね。
安達氏
はい。速く決める部分と時間をかける部分を分ける進行という姿勢は、社外向けの言葉ではなく、普段のレビューや会話の中で試されるものだと思っています。
インタビュアー
Beaconryの社内は、わりと静かなタイプですか?
安達氏
静かですが、淡々としているわけではありません。Beaconryではこのツールの細部で急に盛り上がることがあります(笑)。Beaconryらしく、文言を一行直すだけで二十分くらい話すこともあります。
インタビュアー
Beaconryらしい細かさですね。
安達氏
でも、その一行で現場の事業者の受け取り方が変わるなら、十分話す価値があります。
Question 04
安達 由紀氏の事業判断で、迷いが出るのはどんな時ですか。
インタビュアー
意思決定では、確認項目を増やすことで安心を作ろうとしそうなときに迷うのですね。
安達氏
迷います。短期的に分かりやすい案ほど、後で現場に説明しにくいことがあります。現場の事業者が納得して使えるかは、最後まで確認します。
インタビュアー
納得の有無を重く見ている。
安達氏
はい。このツールは押し切って使わせるものではありません。使う理由が腹に落ちているかどうかを見ます。
インタビュアー
Beaconryで反対意見が出た時はどうしますか?
安達氏
助かります。このツールへの反対が出ると、Beaconryはいったん立ち止まれます。毎回止まりすぎると困りますが(笑)、早い段階の反対はBeaconryの事業を守ることがあります。
インタビュアー
Beaconryでは、反対意見をブレーキではなく点検として見る。
安達氏
そうです。Beaconryの軸から外れていないかを見る機会になります。
Question 05
Beaconryの次の挑戦で、楽しみにしていることを聞かせてください。
インタビュアー
最後に、CEOとして今後の見通しを聞かせてください。
安達氏
焦らず、でも止まらずに進めたいです。ケア記録・生活支援連携の領域は、急ぐほど取りこぼすものがあります。
インタビュアー
速度の置き方が大切なのですね。
安達氏
はい。ケアの気づきを過不足なく共有する記録設計を進めるうえでも、現場の事業者が続けられる速さを見失わないことが一番大事だと思っています。
インタビュアー
Beaconryは、その未来に向けてまず何から始めますか?
安達氏
近いところからです。大きな計画を掲げるより、いま使ってくれている現場の事業者が、明日少し楽になる部分を直したい。
インタビュアー
Beaconryは、遠くを見るために近くを直す。
安達氏
そうです。ケアの気づきを過不足なく共有する記録設計の遠い話だけをしていると、足元にある利用者の声が聞こえなくなります。
Question 06
Beaconryの少し柔らかい話も聞きたいです。社内でよく笑う場面はありますか。
インタビュアー
現場の事業者との会話で、印象に残っている一言はありますか?
安達氏
『これなら人に頼みやすい』と言われたことがあります。便利という言葉より、頼みやすいという言葉のほうが、私には強く残りました。
インタビュアー
一人で抱え込まなくてよくなる。
安達氏
そうです。このツールが、そういう小さな受け渡しのきっかけになるなら、十分価値があると思いました。
Editor's Note
Beaconryの取材では、ケアの気づきを過不足なく共有する記録設計を支える組織の会話と記録のあり方に注目しました。生活記録とケアメモを共有する支援者向けツールの機能より、導入後に起こる会話や引き継ぎを具体的に語った点に、安達 由紀氏の経営観が表れています。
Related Profiles
More from 2022
同じ年次特集から、あわせて読みたいプロフィールを紹介します。

沢村 真琴
Founder / CEO / アグリノマ
農業記録・作業計画支援
畑の判断を、次の季節へ残す。栽培記録と作業予定をつなぎ、地域の生産現場に静かな継続性を生む沢村真琴の農業支援。
Read Profile
森野 佳奈
CEO / キャッシュリード
小規模経理・資金見通し支援
小規模事業者、経理担当者、店舗運営者の会話から始まった問いを、資金の見通しを日常の会話に戻す設計へ育てる。キャッシュリードの事業づくりを追う。
Read Profile
川端 慎
Co-founder / CEO / ループクラフト
資材循環・在庫再利用設計
使える資材が管理しにくいという理由で眠っていたという経験を起点に、再利用を続けられる在庫と返却の設計へ向かう。ループクラフトが大切にする判断の手触り。
Read Profile