CEO Edition
羽鳥 誠氏のポートレート
CEO Edition 2021

Makoto Hatori

羽鳥 誠

Co-founder / CEO / メモレイド

家族が心配しても本人の生活を細かく管理しすぎてしまう難しさがあったという経験を起点に、本人の尊重を前提にした生活メモ共有へ向かう。メモレイドが大切にする判断の手触り。

Year
2021
Role
Co-founder / CEO
Industry
服薬記録・家族ケア連携
Tags
服薬記録・家族ケア連携事業設計組織づくり

Profile Summary

Profile

羽鳥 誠氏が率いるメモレイドは、服薬と生活メモをやさしく共有する記録ツールを通じて本人、家族支援者、生活を見守る関係者の実務を支えています。事業のきっかけは「家族が心配しても本人の生活を細かく管理しすぎてしまう難しさがあった」という経験でした。メモレイドでは、課題を大きな言葉へ置き換える前に、どんな確認が繰り返され、どこで判断が止まるのかを見ます。そうした観察を、本人の尊重を前提にした生活メモ共有へつなげてきたリーダーです。

Company Focus

メモレイドの事業は、本人、家族支援者、生活を見守る関係者が使う服薬と生活メモをやさしく共有する記録ツールの設計と運用支援です。服薬記録・家族ケア連携では例外的な対応が日常的に起こるため、画一的な標準化だけに頼らず、調整の余地を残した仕組みを目指しています。本人、家族支援者、生活を見守る関係者へ完成された標準を渡すのではなく、一緒に調整できる余地を残しています。

Business Focus

現在の重点は本人の尊重を前提にした生活メモ共有です。メモレイドでは、完成形を一度に決めるのではなく、本人、家族支援者、生活を見守る関係者が迷う場面を特定してから改善の単位を決めています。最初から全体を統一せず、戻せる単位で試すという方針のもと、導入後の修正や引き継ぎまでを事業設計に含めています。

Leadership Note

羽鳥 誠氏は、利用者に説明できない仕様を追加しそうなときに一度立ち止まります。そこで行うのは決断の先送りではなく、本人、家族支援者、生活を見守る関係者の側で何が増減するかの確認です。会議の冒頭で、結論より前提の違いを確かめる姿勢を日々のレビューに落とし込み、役職に関係なく懸念を言葉にできるようにしています。

Interview

Q&A

Question 01

服薬記録・家族ケア連携に入っていく入口は、どこにありましたか。

インタビュアー

はじめからこのツールの構想があったわけではないのですね。

羽鳥氏

ありませんでした。むしろ、家族が心配しても本人の生活を細かく管理しすぎてしまう難しさがあったという違和感が先にありました。利用する方が真面目に向き合っているのに、情報の残り方や伝わり方で余計な迷いが生まれていたんです。

インタビュアー

現場の努力だけでは解きにくい問題だった。

羽鳥氏

そう感じました。努力を増やすのではなく、判断の手前にある道筋を整える。メモレイドでは、その発想から本人の尊重を前提にした生活メモ共有に取り組んでいます。

インタビュアー

メモレイドは、最初から市場を大きく見ていたわけではない。

羽鳥氏

まったくそうです。メモレイドが最初に見ていたのは、目の前の利用する方の困り方でした。服薬記録・家族ケア連携という言葉にすると大きく聞こえますが、始まりはもっと日常に近いものでした。

インタビュアー

日常に近い感覚から、メモレイドの事業に育った。

羽鳥氏

はい。だから今も、説明が大きくなりすぎた時は、『家族が心配しても本人の生活を細かく管理しすぎてしまう難しさがあった』という出発点に戻るようにしています。

Question 02

メモレイドの利用者から届いた反応で、最近印象に残ったものはありますか。

インタビュアー

服薬記録・家族ケア連携の中で、いま何を深めていますか?

羽鳥氏

いちばん見ているのは、判断の手前にある迷いです。本人の尊重を前提にした生活メモ共有を進めるには、きれいな結論だけでなく、そこへ至る途中の情報が必要になります。

インタビュアー

メモレイドは、判断の途中経過を大切にしている。

羽鳥氏

はい。このツールは、結論を急がせる道具ではありません。利用する方が納得して次へ進める材料をそろえるものです。

インタビュアー

メモレイドは、機能を増やすことよりこのツールの使われ方を見ているのですね。

羽鳥氏

そのほうが近いです。利用する方は新しい道具を触るために働いているわけではありません。このツールで自分の仕事が少し進みやすくなる、というくらいの自然さをメモレイドは大事にしています。

インタビュアー

このツールが自然に仕事へ入っていくこと。

羽鳥氏

はい。メモレイドでは、このツールを『便利そう』で止めず、『明日も使いそう』まで持っていけるかを見ています。

Question 03

利用する方の声を、社内ではどう扱っていますか。

インタビュアー

組織の中で、何を共有するようにしていますか?

羽鳥氏

結論より前に、迷った理由を共有します。このツールの改善でも、なぜその案を捨てたのかが残っていないと、同じ道をもう一度歩いてしまうんです。

インタビュアー

失敗ではなく、検討の履歴として残す。

羽鳥氏

その感覚が近いです。メモレイドでは、本人の尊重を前提にした生活メモ共有を進めるためにも、判断の履歴を資産として扱っています。

インタビュアー

メモレイドの社内は、わりと静かなタイプですか?

羽鳥氏

静かですが、淡々としているわけではありません。メモレイドではこのツールの細部で急に盛り上がることがあります(笑)。メモレイドらしく、文言を一行直すだけで二十分くらい話すこともあります。

インタビュアー

メモレイドらしい細かさですね。

羽鳥氏

でも、その一行で利用する方の受け取り方が変わるなら、十分話す価値があります。

Question 04

服薬記録・家族ケア連携で意思決定する難しさはどこにありますか。

インタビュアー

意思決定の場で、よく問い直すことはありますか?

羽鳥氏

これは現場のためか、こちらの都合か、という問いです。本人の尊重を前提にした生活メモ共有は魅力的なテーマですが、言葉だけが前に出ると簡単にずれます。

インタビュアー

自社都合になっていないかを見る。

羽鳥氏

ええ。利用する方の時間を借りる以上、その時間に見合う軽さや納得感が必要です。

インタビュアー

メモレイドで反対意見が出た時はどうしますか?

羽鳥氏

助かります。このツールへの反対が出ると、メモレイドはいったん立ち止まれます。毎回止まりすぎると困りますが(笑)、早い段階の反対はメモレイドの事業を守ることがあります。

インタビュアー

メモレイドでは、反対意見をブレーキではなく点検として見る。

羽鳥氏

そうです。メモレイドの軸から外れていないかを見る機会になります。

Question 05

メモレイドらしさを保つために、これから何を大事にしますか。

インタビュアー

数年先に向けて、どんな状態を作りたいですか?

羽鳥氏

メモレイドが前に出すぎない状態です。利用する方が自然にこのツールを使い、自分たちの判断を更新できるようになっているのが理想です。

インタビュアー

道具が目立たないほうがよい。

羽鳥氏

そう思います。本人の尊重を前提にした生活メモ共有は、派手な言葉より日々の動きに残って初めて意味があります。

インタビュアー

メモレイドは、その未来に向けてまず何から始めますか?

羽鳥氏

近いところからです。大きな計画を掲げるより、いま使ってくれている利用する方が、明日少し楽になる部分を直したい。

インタビュアー

メモレイドは、遠くを見るために近くを直す。

羽鳥氏

そうです。本人の尊重を前提にした生活メモ共有の遠い話だけをしていると、足元にある利用者の声が聞こえなくなります。

Question 06

利用する方との会話で、忘れられない一言はありますか。

インタビュアー

メモレイドらしい日常の風景を一つ挙げるなら。

羽鳥氏

静かな会議の後に、このツールへの細かい意見がチャットで急にたくさん出てくるところです。メモレイドの会議中に言ってよ、と思うこともあります(笑)。

インタビュアー

メモレイドでは、意見が後から出てくることもあるのですね。

羽鳥氏

でも、それも大事にしています。このツールについて、少し時間を置いたから出る意見もありますから。

Editor's Note

羽鳥 誠氏が繰り返したのは、本人、家族支援者、生活を見守る関係者に新しい負担を渡さずに本人の尊重を前提にした生活メモ共有を進めるという視点でした。本人の尊重を前提にした生活メモ共有を大きな構想として語るだけでなく、誰がどの場面で使うのかへ話を戻す姿勢が印象に残りました。

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