
Risa Hinata
日向 理沙
CEO / ミライループ
学習記録・教育伴走支援の課題を大きく語りすぎず、学習塾、スクール運営者、保護者との連携担当者の日常から考える。ミライループのリーダー像を描く。
- Year
- 2023
- Role
- CEO
- Industry
- 学習記録・教育伴走支援
- Tags
- 学習記録・教育伴走支援事業設計組織づくり
Profile Summary
Profile
学習のつまずきが本人の努力不足として扱われがちだった。日向 理沙氏がミライループの事業を考える起点になったのは、この具体的な場面でした。学習記録と面談メモをつなぐ教育支援プラットフォームを設計する際も、学習塾、スクール運営者、保護者との連携担当者の仕事を一律に置き換えるのではなく、既存の工夫を残しながら負担の大きい部分をほどく姿勢を取っています。速く決める部分と時間をかける部分を分ける進行という組織運営にも、その考え方が表れています。
Company Focus
ミライループが扱うのは、学習塾、スクール運営者、保護者との連携担当者に向けた学習記録と面談メモをつなぐ教育支援プラットフォームです。学習記録・教育伴走支援を抽象的な効率化の話にせず、実際の連絡、確認、振り返りの順番に落とし込むことを事業の中心に置いています。ミライループは、機能の多さより、確認や受け渡しが短くなることを価値として見ています。
Business Focus
現在の重点は学習者の変化を無理なく共有する記録設計です。ミライループでは、完成形を一度に決めるのではなく、学習塾、スクール運営者、保護者との連携担当者が迷う場面を特定してから改善の単位を決めています。最初の一回で迷わないところから整えるという方針のもと、導入後の修正や引き継ぎまでを事業設計に含めています。
Leadership Note
日向 理沙氏の判断は、速く決める部分と時間をかける部分を分ける進行から始まります。特に例外を切り捨てて標準化を急ぎそうな局面では、案の分かりやすさよりも、半年後に別の担当者が見て意味を理解できるかを確認します。日向 理沙氏は決定後の動きを曖昧にしない一方、決める前の異論には時間を使います。
Interview
Q&A
Question 01
ミライループは、どんな違和感から始まったのでしょうか。
インタビュアー
ミライループの構想は、どんな場面で輪郭を持ち始めたのでしょう。
日向氏
最初は、自分たちが何かを作るべきだというより、学び手と伴走者の中にすでにある工夫をどう失わせないか、という関心でした。学習のつまずきが本人の努力不足として扱われがちだったという経験も、その工夫が引き継がれにくいことを示していました。
インタビュアー
既にある工夫を拾い上げるところから始まった。
日向氏
そうです。このプラットフォームは、新しいやり方を押しつけるものではなく、現場が持っている判断を次へ渡すための形として考えました。
インタビュアー
ミライループの原点は、周囲に説明しづらい課題だったのではないですか?
日向氏
説明しづらかったですね。学習記録・教育伴走支援の大きな課題として語る前に、学び手と伴走者が言葉を止める場面を見ていました。ミライループが注目したのは、目立つ不満より、確認のたびに小さく手が止まるところです。
インタビュアー
ミライループは、課題名になる前の停滞を見ていた。
日向氏
そうです。そこを見逃すと、このプラットフォームも整って見えるだけのものになります。ミライループでは、格好よく説明することより、実際に起きていることから離れないようにしました。
Question 02
学習者の変化を無理なく共有する記録設計に取り組む中で、最近考えが変わったことはありますか。
インタビュアー
学習者の変化を無理なく共有する記録設計を進めるうえで、何を指標にしていますか?
日向氏
数字だけでは見えない変化を見ます。たとえば、確認のための会話が短くなったか、誰かに聞かないと分からない状態が減ったか。学び手と伴走者の表情や会話の流れも大切な手がかりです。
インタビュアー
定量化しにくい部分も見ている。
日向氏
はい。このプラットフォームは、業務の速度だけでなく、迷い方そのものを変えるものにしたいんです。
インタビュアー
ミライループでは、開発中に意見が割れることもありますか?
日向氏
よくあります。このプラットフォームの機能が親切なのか、余計なお世話なのかは何度も話します。ミライループが学び手と伴走者に近づきすぎても重くなるので、その距離感は難しいですね。
インタビュアー
このプラットフォームは支えるが、使い方まで支配しない。
日向氏
ええ。ミライループがそこを間違えると、学び手と伴走者の仕事らしさまで変えてしまいます。
Question 03
ミライループの会議は、どんな雰囲気なのでしょうか。
インタビュアー
ミライループのチーム文化をどう表現しますか?
日向氏
派手ではありませんが、しぶといです。このプラットフォームの改善でも、一度出した案を磨き直すことを嫌がらない人が多い。
インタビュアー
粘り強さが文化になっている。
日向氏
そうですね。学習者の変化を無理なく共有する記録設計は短距離走ではないので、地味な確認を続けられる組織でいたいと思っています。
インタビュアー
ミライループのチーム内では、どんな言葉をよく使いますか?
日向氏
『それ、相手の一日で考えた?』とはよく言います。ミライループで学び手と伴走者の一日を想像せずに議論すると、どうしても作り手の都合が強くなります。
インタビュアー
このプラットフォームを、利用者の一日の中に置いて考える。
日向氏
はい。ミライループの机の上では正しく見えても、利用する時間帯やその時の忙しさに合わないことがあります。
Question 04
ミライループの事業軸を守るために、あえて止めることはありますか。
インタビュアー
意思決定では、例外を切り捨てて標準化を急ぎそうなときに迷うのですね。
日向氏
迷います。短期的に分かりやすい案ほど、後で現場に説明しにくいことがあります。学び手と伴走者が納得して使えるかは、最後まで確認します。
インタビュアー
納得の有無を重く見ている。
日向氏
はい。このプラットフォームは押し切って使わせるものではありません。使う理由が腹に落ちているかどうかを見ます。
インタビュアー
ミライループの判断で、感覚に頼ることはありますか?
日向氏
あります。ただ、ミライループでは感覚だけで決めたとは言いません。このプラットフォームのどこに引っかかったのかを言葉にして、初めてチームで扱える判断になります。
インタビュアー
ミライループでは、勘を否定せず共有できる形にする。
日向氏
はい。ミライループでは違和感を大事にしつつ、このプラットフォームの判断として人に渡せる言葉まで整えます。
Question 05
学び手と伴走者との関係は、これからどう変わっていきますか。
インタビュアー
次の挑戦として、何を意識していますか?
日向氏
使う人が増えたときに、雑にならないことです。このプラットフォームは、対象が広がるほど平均化されやすい。そこをどう防ぐかを考えています。
インタビュアー
広げながら個別性も見る。
日向氏
はい。学び手と伴走者の事情を失わずに、学習者の変化を無理なく共有する記録設計を進める。その両立が次の課題です。
インタビュアー
ミライループが広がっていく中で、怖さはありますか?
日向氏
あります。ミライループが広がるほど、このプラットフォームの最初の手触りが薄くなる怖さがあります。だから、『学習のつまずきが本人の努力不足として扱われがちだった』という原点の話は社内でも何度もします。
インタビュアー
ミライループの原点を共有し続ける。
日向氏
ええ。ミライループにとって原点は飾りではなく、迷った時に戻る場所です。
Question 06
ミライループの現場で、思わず空気が和らぐ瞬間はありますか。
インタビュアー
ミライループの真面目な話が続きましたが、社内で笑うこともありますか?
日向氏
ありますよ(笑)。このプラットフォームの名前や文言を決める時は、だいたい一度変な方向に行きます。ミライループのメンバー全員がまじめに考えているのに、妙に大げさな言葉が出てきたりして。
インタビュアー
ミライループのその会議は、見てみたいですね。
日向氏
最終的には落ち着くんですけどね。このプラットフォームをめぐる寄り道があるから、固くなりすぎずに済んでいると思います。
Editor's Note
日向 理沙氏の語りからは、学習記録・教育伴走支援の課題を一括りにせず、運用の細部から捉える姿勢が伝わりました。ミライループの事業は、目立つ変化よりも、確認や受け渡しが少し短くなる日常的な改善に軸足を置いています。
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